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2006/09/08

日本は「何」で国を守るのか

 次期総理が決定しているアベシンゾーが改憲を打ち出す中、「憲法九条を世界遺産に」というタイトルの本が太田光、中沢新一の共著で出ました。なんともまあ気恥ずかしくなるほどストレートなタイトルですが、奥付を見ると8月17日発行で31日に二刷が出ているので売れている部類に入るでしょう。

 私としてはこの本の内容には賛意を示しますし、太田氏の「少なくとも僕は、この憲法を変えてしまう時代の一員でありたくない」という意見には激しく同意です。
 また同書で太田氏は「言葉」の重要性にも言及しています。曰く「(小泉が中国や韓国に靖国問題の説明をするときに「不戦の誓い」という言葉を繰り返すけれども、この言葉はとてつもなく軽い。もうこんな言葉は通用しない)『外交をするなら、言葉ぐらい変えろよ』と(自分の番組の中で)言ったんです。その言葉自体が重要なのではなく、言葉を変えて違う角度から説得するということが大事なんだと思う。相手にとっては、それが一つのリアクションになるわけですから。その態度を日本が見せないのは、じつはとても危険なことだと僕は思っているんです」と。
 この部分は非常に重要だと思います。憲法九条について語られる時、擁護派はいつもこの条文の理念の高さを評価します。一方、批判する側は戦力を持たない、丸腰で現実的な脅威から国を守ることはあり得ないといいます。九条を変える必要はないが自衛権は存在するために、最低限の自衛力を持つべきであるという論者も同様です。つまりはその解釈のしかたをめぐっていつも論争が起きるわけですが、ここには一つ大切な側面が欠けているように思います。

 憲法九条は国際紛争の解決の手段として武力による威嚇、行使を否定しているわけですが、ではどういう手段で国際紛争を解決しようというのか--。
 これについてある在日コリアンの女性がこう話しているのを聞いて、私はハッとしたことがあります。彼女はこう言っていました。
「日本はね“口先”で国を守ることを決意したんだよ。つまり言葉を武器に国際紛争を解決しようというのが憲法九条なんじゃないの?」
 もちろんそれですべてが解決することは現実的には難しいし、それができればあらゆる紛争において血は流れないでしょう。そう簡単なものじゃない。けれども、少なくとも日本はそこに向かって最大限の努力をする、つまりは世界でも最高の外交力、交渉力を持つ国になるべく不断の努力をするというのは、武力放棄と表裏一体となった九条の真意だと言うわけです。私はこの説に深く納得しました。
 しかるに戦後このかた、日本が目をみはるような外交力を発揮したシーンは国際舞台でもほとんどありません。まして近年は田中康夫氏が害無能省と評するがごとく、日本の外務省はひたすらな対米追従に終始するばかりです。

 今朝の「とくダネ!」(だったと思います)では、小泉政権の5年間を振り返る特集のなかで、この夏、小泉がプレスリーの生家でブッシュ一家が見守るなか、サングラスをかけてわけのわからない踊りをしている映像を流していました。そしてちょうどこの頃、時期を同じくして、北朝鮮がテポドンを日本海(といっても実はロシア沖)に打ち込んだわけです。ここで断っておきますが、私は北朝鮮の支持者では断じてありません。しかしながら誤解を恐れずに言えば、あの単細胞ブッシュさえ引いてしまう、異様に恍惚状態の小泉の映像を見たら、金正日が「ちょっくらペンシルロケットでも発射しておくか」と思うのも(あるいは韓国が「竹島行っとくか」と思うのも)冗談半分ですがわかるような気がします。
 というか、あの映像は外交という観点から見たならば、歴史的にもまれに見るレベルの低さを世界中にさらしたと言えるのではないでしょうか。少なくともあの映像を見た中国、韓国、北朝鮮など近隣諸国の人々は心底ゾッとしたことだと思います。
 にもかかわらずただヒステリックにテポドンに反応して大騒ぎをする政府、マスコミ、そして国民。この国の様相は憲法九条の目指すところとはもはや正反対のところへ行き着いてしまったようです。
 

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コメント

全面的に同意します。また、文章の持つ説得力の高さに、敬意を表します。

投稿: tombo1960 | 2006/09/27 20:03

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